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「ケインとアベル」のあらすじは?
ケインの人生は?
印象に残った部分は?

ジェフリー・アーチャー著の「ケインとアベル」に関する、3つ目の記事です。今回が最後になります。

記事を書いているのは…

元劇団四季、テーマパークダンサー。年間100公演ほど舞台を観に行ったことのある劇場フリーク。小説は映画化されているものを読むことが多く、映画との違いを楽しんでいます。

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kazu

この記事は「ケインとアベル」のケインに関して紹介します。

※3分ほどで読み終わる記事です。この記事を読むと、きっと「ケインとアベル」が読みたくなると思います。(基本的にポジティブなことしか書きません。)

ケイン派?アベル派?

「ケインとアベル」の全体の感想はこちらです。

そしてもうひとりの主人公であるアベルに関してはこちらをどうぞ。

あまりにも過酷な少年時代を過ごしたアベル。一方、主人公のウィリアム・ケインはボストンの名家で生まれます。ウィリアムはアベルと同じ時代に生まれたと思えないくらい恵まれた生活を送り、名門学校からハーヴァード大学へ行き銀行家となります。

ただし、ケインのストーリーもとても波乱に満ちています。

僕は最初アベルのストーリーに惹きつけられましたが、読み進めるとウィリアムのストーリーにもどんどん引き込まれていきました。

kazu

どちらも甲乙つけがたいですが、きっとどちらか好きな方に肩入れしていってしまうと思います。

僕はウィリアム・ケインの人間性に惹かれました。アベルはかなり野心的で荒々しい部分があるので、ケインのスマートな感じが好きでした。

ここからは上巻でアベルとすれ違うまでのウィリアム・ケインの紹介です。

ウィリアム・ケインからみた「ケインとアベル」

登場人物

ウィリアム・ケイン:主人公
リチャード:父。ケイン・アンド・キャボット銀行頭取
アン:母

アラン・ロイド:ケイン・アンド・ギャボットの銀行家。ウィリアムの後見人
ミリー・プレストン:アンの親友。ウィリアムの後見人

ウィリアムはボストンのケイン・アンド・キャボット銀行頭取の息子として生まれます。母であるアンは跡取りとなる男の子が生まれ一安心です。ただアンにとっては難産で、これ以上子供を持つことは難しいだろうと医師から告げられます。

ウィリアムは生まれたときから銀行家になる道筋が決まっていて、どの学校に行くかまで決まっています。

若くして頭取になった父リチャード、美しい母アン、そして厳格な祖母たちのもと何不自由なく成長していきます幼少期から数字に強く、将来を期待されていました。

ウィリアムが5歳の時、ケイン・アンド・ギャボット銀行のロンドン支店で問題が起こります。リチャードはウィリアムの世界が広がると期待し家族を連れイギリスに旅立ちます。旅行はとても実りあるものでした。

ですが、帰国の前日にウィリアムが「はしか」にかかってしまい治るまでロンドンに滞在することになります。リチャードはボストンに戻る必要があったため一足先に帰ることになります。

しばらくすると、街中が船の事故の話題で持ちきりになっています。

リチャードはアメリカに帰るために「タイタニック号」に乗っていました。そして、この事故で帰らぬ人となってしまいます。

ここでウィリアムは一気に大人になることを迫られます。莫大な遺産を受け継ぐウィリアムに対し、祖母たちは厳しく育てます。そして、ウィリアムにとって父親を超えることが人生の目標になりました。ウィリアムはリチャードとまったく同じ道を歩むことになります。

資産運用の才能

学校に通い始めるようになったウィリアム。成績はトップです。

アベルに比べると信じられないほどのどかな生活なのですが、少年期からお金をどう儲けるかとか、株をどう運用するかといった話が登場します。僕はこのストーリーにすごくワクワクしました。

祖母から資産運用のノートをもらい、ウィリアムは自分で資産の運用を始めます。株の取引を始めるときも、まずはシミュレーションをしてから実際に運用を始める堅実さを持っています。

こうした運用だけでなく、実際のビジネスにも興味を持ちます。

9歳の頃、ウィリアムの学校でマッチ箱のラベル収集がブームになります。ウィリアムは高額で取引されるラベルを不思議に思います。そしてふと「みんなと交換しているだけでは儲からない」と気づきます。

小学校に出回っているマッチの種類は多くありません。それに気づいたウィリアムはマッチの製造会社の社長にマッチのラベルを集めているという手紙と返信用の切手を添えて送ります。すると多くの会社がマッチを送ってくれるだけでなく、切手代もそのまま返送してくれました。

こうしてレアアイテムを手に入れたウィリアムは高値で売ります。そしてブームは去るだろうと思ったウィリアムは、一気にすべてを売ってしまいます。そして本での10倍の利益を得ることに成功します。

運用失敗からの逆転

儲けたお金で株を購入します。情報誌のオススメ株を購入しますが、利益の半分を失ってしまいます。この反省から「株は自分で判断して買う」というウィリアムの資産運用ルールが決まります。

ただ、損した分は取り戻したいと思います。ちょうど夏休みということもあり、あるビジネスを思いつきます。旅行者のためにタクシーの代わりに駅からホテルまで荷物を運んで上げる仕事です。

5ドルで簡単なリアカーを作り、タクシーの20%の料金で運ぶビジネスはとても順調で、株の損を取り戻すことができました。ただタクシーの運転手からは大ブーイング。脅されてしまいます。

ウィリアムはここで知恵を働かせます。タクシーの運転手たちに「辞める代わりに1人50セントずつ出してほしい」と交渉します。そして、リアカーは上級生に5ドルで売ることに成功し、さらに利益を得ることができました。

少年時代にお金を稼ぐ術を見つけたウィリアム。ウィリアムは中学からお小遣いはいらない、と祖母たちに宣言します。その時祖母にブローチをプレゼントするのですが、外箱だけが有名なお店のもので中身は安物でした。

ブランドに価値があると気づいたウィリアムの悪知恵です。ただ、きっとおばあちゃんたちは価値に気づいていたと思います。それでも感心したんじゃないか、と思います。

寄宿学校

生涯の出会い

マシュー・レスター:ウィリアムの生涯の親友
ヘンリー・オズボーン:アンの2番目の夫
トーマス・コーエン:法律事務所の弁護士

ウィリアムは12歳で寄宿学校に入ります。ルームメイトはレスター銀行頭取の父を持つマシュー・レスター。一生の友人になります。寄宿学校ではウィリアムは特別扱いされることがなく、自由な環境で勉強に専念できました。

ここからウィリアムはリチャードの持つ記録をどんどん塗り替え、父親を超えるという目標をどんどん達成していきます。

夏休みになるとウィリアムはマシューの家で過ごします。マシューの父は、ニューヨークのレスター銀行の頭取です。ウィリアムはレスター銀行を見学し、ケイン・アンド・ギャボット銀行よりも規模が大きいことに魅了されます。

そして「将来、レスター銀行の頭取になる」と宣言します。

反抗期

母親のアンはリチャードの死後、恋愛から離れていたアンですが周りからは再婚をススメられていました。あまりピンとこないアン。

そんな時、親友のミリー・プレストンからヘンリー・オズボーンを紹介されます。ハーバード大卒のハンサムなオズボーンと出会い恋に落ちます。そして出会ってから10ヶ月でふたりは結婚します。

ですが、ウィリアムはこの結婚には大反対でした。特にオズボーンが気に入りません。

アンがオズボーンと結婚したことで、家に帰ることが嫌になるウィリアム。自分で小遣いも稼いでいるので、ますますアンと疎遠になっていきます。

アンはウィリアムとオズボーンの関係をどうにか修復したいと考えています。しかし、アンに配分された財産を頼りにし、一向に仕事を始めません。アンはオズボーンに弱く、お金が必要といわれると最初は嫌がっても気づいたらお金を渡しています。

そうこうしているうちにアンの妊娠がわかります。これはふたりで計画をしていたことです。とはいえ、医師はアンの妊娠には大反対でした。もうひとり産めばアンの命が危険になる、と考えていました。

そして不穏な手紙が届くようになります。「オズボーンが浮気をしている」と。

最初は気にしていなかったものの、オズボーンの不審な点が気になり始めます。心配になったアンはかなり抵抗があるものの、ヘンリーの浮気調査を探偵に頼みます。

オズボーンの企み

オズボーンが病院建設の業者の選定入札のために、50万ドルをアンにお願いしてきました。アンにそんな大金はもうないのですが、オズボーンはウィリアムの遺産に目をつけます。

アンはウィリアムが相続したリチャードの遺産の元金に手を付けることはできません。ですが、遺産の元手から利子による利益がたくさん出ていました。法廷相続人であるアンと名付け親のアラン・ロイド(ィリアムが将来引き継ぐケイン・アボット・キャボット銀行の頭取)、ミリー・プレストン(アンの親友)のうち2人が了承すれば、貸し出すことが出来るという条件があるのをオズボーンは知っていました。

ウィリアムは弁護士のトーマス・コーエンにオズボーンの調査を結婚当社から依頼していました。もちろんオズボーンの浮気だけでなく、浮気相手も知っていました。それだけでなく、母の財産を盗ろうとするオズボーンの不穏な動きを悟ったウィリアムはアラン・ロイドに接触します。ウィリアムはオズボーンが入札で敗れるという情報もすでに持っていて、アラン・ロイドに母であるアンに融資に反対するよう説得してほしいと頼みます。

アンはウィリアムがボストンに戻ってきていることを人づてに聞き、驚きます。そして自分に会いに来てくれないことにショックを受けます。

アラン・ロイドからアンに、病院建設の件で連絡がありました。オズボーンが銀行に融資を求めてきているとの相談でした。アラン・ロイドはアンを心配します。ですが、アンの決断を尊重することを決心し、強く融資の反対を提案することができませんでした。

入札失敗

病院建築業者の正式発表がある日、アンは探偵からの最終報告を受け取ることになっていました。オズボーンを信用し報告は聞かないと決心していましたが、なんとなく不安になります。

そして報告を聞きに行くことにします。

オズボーンは、ミリー・プレストンと浮気をしていたことがわかります。さらにヘンリー・オズボーンは偽名、戦死者の戸籍を盗み、ハーバード大の経歴もウソ、結婚詐欺を行ったり、前科も持っているという報告でした。

そして、ウィリアムの言ったとおり病院の建築業者にオズボーンの会社が選ばれなかった、と連絡が入ります。

アンはここで産気づいてしまいます。もともと子供を生むのが難しかったアン。生きる気力を完全に失ってしまい、アンは帰らぬ人となってしまいます。それだけでなく赤ちゃんも生まれることはありませんでした。

このシーンではスター・ウォーズ:エピソードⅢのナタリー・ポートマンを思い出してしまいました。子供を生んだあと、アナキンの変化を受け入れられず衰弱しきってしまい生きる気力をなくしてしまう…。

病院に駆けつけるウィリアム。時すでに遅し…。疎遠であったものの大好きだった母の死を受け入れることができません。そこにミリー・プレストンの家から戻ってきて何も知らないオズボーンが戻ってきます。

ウィリアムはオズボーンに二度と近づくな、と警告し関係を絶ちます。

結局、遺産目当てだったオズボーン。リチャードの遺産を狙っていました。この遺産は全部ウィリアムのものとなります。アンとオズボーンに子供ができてもその事実は変わりませんが、オズボーンはこの事実をわかっていませんでした。そして、アンに無理をさせてしまい、結果的に死を導いてしまったのです。

新たな人生へ

アラン・ロイドはアンの死の責任が自分にあると、説得すらしなかった自分を責め、頭取を辞任することを決意します。

ですがウィリアムに引き続き頭取のままでいてほしいと願います。ふたりはお互いに信頼し合う仲間となります。

父の死、母の死を乗り越え、寄宿学校では優秀な成績をおさめ、マシューとともにハーバード大学に入学が決まります。そのお祝いにニューヨークのプラザホテルで、ケイン家とレスター家でお祝いの食事会を開きます。

ウィリアムはそこのウェイターの美しい銀の腕輪に目をとめます。そこには読めない文字が…。「アベル・ロスノフスキ」との初めてのすれ違いです。

kazu

今回は「カインとアベル」上巻3/4くらいのケインの紹介でした。下巻もぜひ読んでみてください。
ありがとうございました。