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「ロスノフスキ家の娘」下巻のあらすじは?
評価は高い?
印象に残った部分は?

前回「ロスノフスキ家の娘」の上巻を紹介しました。

下巻ではフロレンティナが一気に政界に進出していきます。政治家の役割や、駆け引き、選挙など、日本でもかなり共通する部分が多く、政治家に対する意識がポジティブな方向に向くような内容になっています。

記事を書いているのは…

元劇団四季、テーマパークダンサー。年間100公演ほど舞台を観に行ったことのある劇場フリーク。小説は映画化されているものを読むことが多く、映画との違いを楽しんでいます。

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kazu

この記事はジェフリー・アーチャー著「ロスノフスキ家の娘」下巻のあらすじと感想、批評サイトの評価を紹介します。

※3分ほどで読み終わる記事です。この記事を読むと、きっと「ロスノフスキ家の娘」が読みたくなると思います。小説を読み終わったあとは誰かと一緒に感想を言い合いたくなってしまいます。そんな気持ちになっている方に向けた記事にもなっています。(基本的にポジティブなことしか書きません。)

アメリカの近代政治の歴史が丸わかり

前作の「ケインとアベル」ではアメリカの近代経済の歴史がわかりやすく理解できました。

今作「ロスノフスキ家の娘」では1968年からのアメリカ政治の歴史がよくわかります。

実際の政治家がかなり登場します。著者のジェフリー・アーチャーは本を書くために2年間取材したそうです。

主人公のフロレンティナはアメリカを良くしようと純粋に政治活動を行っていきます。陰謀や策略に巻き込まれてしまうのですが、それでもまっとうに政治を行う正々堂々とした姿が描かれ、政治家に対する印象がアップする内容になっています。

kazu

こんな政治家がいるといいな、と思ってしまいます。

最大の見せ場は、民主党の大統領候補を選ぶ投票です。アメリカは共和党と民主党の2大政党制で、両党から候補者がひとり選ばれ大統領選挙に突入していきます。2020年は共和党から現大統領のトランプ、民主党からはバイデンが選ばれました。

「ロスノフスキ家の娘」下巻では、この候補者選びの最終投票が最大の見せ場として登場します。アメリカの大統領選は日本の選挙制度とはまるで違います。この制度はいろいろな場所で解説されるのですが、投票の様子などはあまり報道されません。大統領選の知識がある程度持っている人がこの本を読むと、選挙制度のナマの感覚が理解できます。

ちなみに、指名選挙の陰謀があまりに卑怯です。読んでいて、自分のことのようにかなり悔しくなりました。

それだけ感情移入できる本です。

1980年代前半に出版されましたが、未来である1990年代前半まで描かれます。

「ロスノフスキ家の娘」下巻のあらすじ

「ロスノフスキ家の娘」は、フロレンティナ・ケインがアメリカ初の女性大統領を目指す話です。

下巻

フロレンティナは30代でファッション・ビジネスに成功し、莫大な利益を生むホテルを経営しています。仕事、家庭、すべての幸せを手に入れ気づいたら40歳になっていました。ですが、どこか人生に物足りなさを感じています。

そんなとき親友のエドワードが下院議員に立候補しないか、と話をもちかけます。どこか人生に物足りなさを持っていたフロレンティナは迷いながらも政界に進出することを決意します。

というのも、女性であること、お金持ちであること、ポーランド移民であること、多くの点でフロレンティナが立候補するには不利な点があったからです。ですが、持ち前のチャーミングさ、頭の良さ、人望を発揮し、当選を果たします。

そこから迷いながら下院議員、上院議員をつとめ、女性初の副大統領にまでなります。そして、最終段階の大統領への目標。

果たして、フロレンティナは大統領になることはできるのか。

家族やアメリカを巻き込みフロレンティナの活躍が描かれます。下巻では「ケインとアベル」の存在はほぼ感じられません。ですが、フロレンティナだけで魅力的な本になっています。

評価は高い?低い?

「ロスノフスキ家の娘」下巻の評価

ハイブリット型総合書店「honto」より

野田聖子さんが議員になるきっかけになった本として「ロスノフスキ家の娘」が紹介されています。

男である僕がすごく楽しめたので、女性はかなり楽しめるんじゃないかと思います先に「ケインとアベル」を読んだほうが面白いですが、「ケインとアベル」はなかなか男臭いので、そういうのが苦手な場合はいきなり「ロスノフスキ家の娘」を読むのがオススメです。

発言しない

フロレンティナが下院議員に初当選した年はすべてが初めてで、議員として発言する機会すらありません。

僕は、議員になったら積極的に動くべきで、そうでなければ税金のムダ遣いだと思っていました。ですが、この本を読んで考えがガラッと変わりました。

フロレンティナは発言の資格がないということを理解し、黙っていること(あえて発言しない)を選びます。そして、効果的に発言できるよう準備をはじめます。そのために勉強をし、どう発言するべきか周りの議員をじっくり観察します。

初めて委員会で発言できたのは、下院議員になってからほぼ半年後でした。

妊娠中絶の禁止案に対しての発言です。

かなり効果的に発言をし、一躍スターになるフロレンティナ。

この部分は日常生活でもかなり役立つ部分だな、と感じました。

党を超えた友情

女性民主党議員であるフロレンティナは、共和党のベテラン男性議員とは対極の存在で煙たがられる存在です。

そんなフロレンティナと友情を結ぶ人物が共和党のベテラン、ビュキャナン議員です。

議場ではお互いにやり合い、ふだんも多くの会話するわけではありません。ですが、ふたりは政治に対する清廉潔白さを持っていて、同じ価値観を共有しています。

政敵であるふたりですが、フロレンティナが汚職の疑惑をかけられたとき、ビュキャナン議員は真実を知らないにも関わらずフロレンティナを養護する声明を発表します。

要所要所でみられるふたりの友情に胸が熱くなりました。

エキサイティングな政治的判断

大統領が不在のときに、ソ連との一触即発の事態が起こります。

副大統領になったフロレンティナは、下院議員時代、上院議員時代よりも仕事がほとんどありません。鬱々としていたフロレンティナでしたが、大統領に代わり能力を存分に発揮します。

このときのドラマがまるでキューバ危機の再来のようで、とても読み応えがありました。

結局、この手柄も大統領にとられてしまうのですが、モヤモヤ感、胸に苦いものが残る感覚でより印象に残ります。失敗からこそ学べることがある、と実感できる瞬間でした。

「ロスノフスキ家の娘」の気になった部分の覚書

ここからは個人的に気になった部分や、わからなかった言葉を箇条書きにして解決していきます。備忘録になっています。

ネタバレしてるので注意。

~100ページ

20ページ:「肝胆相照らす」。かんたんあいてらす互いに心の底まで打ち明けて、親しく交際すること。

21ページ:「往生」。死ぬこと。

27ページ:「おりふし」。感じでは「折節」。その時々、季節。折節のあいさつ(季節のあいさつ)。

47ページ:「イスラエルのゴルダ・メイア」。イスラエルの政治家、第5代首相(在任期間1969年-1974年)でありイスラエル初の女性首相。

47ページ:「インドのインディラ・ガンジー」。インドの女性政治家で第5代(在任期間1966年-1977年)、第8代首相(在任期間1980年-1984年)。

51ページ:「ジャーナリストのエゴはときに政治家のエゴより傷つきやすい」。フロレンティナから攻撃を受けたジャーナリストが報復するような記事を書いたことに対し、フロレンティナが抱いた感想。おもしろい表現だと思いました。

54ページ:「フロレンティナはスピートの準備をし、…。ミス・トレッドゴールの記憶がよみがえった」。ミス・トレッドゴールドの回想シーンは嬉しくなります。

58ページ:「ラーフ・イン(Laugh In)」。1968年~1973年、コメディアンのダン・ローワンとディック・マーティンがホストのアメリカのコメディーショー。

61ページ:「ばかと国会議員は紙一重」。マーク・トウェインの言葉。

61ページ:「ジェームズ・ミッチェナー『センテニアル』」。ジェームズ・ミッチェナーは南太平洋などで知られる作家。「センテニアル」は「遥かなる西部」という題名で日本でもテレビドラマが放送されている。

61ページ:「ロバータ・フラック『キリング・ミー・ソフトリー・ウィズ・ヒズ・ソング』」。アナベルが気に入って永遠にリピートして聞いています。

曲を探したら「聞いたことある!」と。なんだろう…、と思っていたらマデリン・ベルが歌詞を変えて歌ったネスカフェのCMの曲でした。

ただリチャードは「キリング・ミー・ソフトリー・ウィズ・ヒズ・ソング」は、あまり好きではなく娘のアナベルにレコードに収録されている違う曲にしてくれ、と頼みます。それがロバータ・フラックの「ジェシー」。

フロレンティナはリチャードに出会った当初、ジェシーという偽名を使っていたため、生涯気に入ります。

80ページ:「ウェイン・ヘイズ」。元民主党下院議員。1976年にセックスパートナーを秘書として雇っていたことが発覚し、大スキャンダルになる。

81ページ:「フォードはヘリコプターのドアに頭をぶっつけたり、飛行機のタラップを踏みはずしたりといった、間抜けな失敗ばかりくりかえしていた」。フォードは車のイメージが強く、どんな大統領かまったくしりませんでした。ちょっと意外な人物像でした。実際の映像はこちら。

83ページ:カーター政権の性格がつぎの言葉に象徴されていると感じた。「わたしは今日ここで新しい夢をかかげるつもりはない。・・・わらわれの偉大な国でさえ限界を知ったこと、われわれはすべての質問に答えることもできなければすべての問題を解決することもできないことを学んだ」。不祥事後の政権であるカーターの言葉です。

87ページ:「ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ、ニューズウィーク、タイム」。アメリカの主要4紙。よく忘れてしまいますが、これが主要なメディアということです。

92ページ:「わたしは彼らを砂のなかに頭を埋めて現実を見ようとしない人々として避難します」。アメリカでよくある自分の主張を説明するための例え話。この例えがすごく印象に残りました。いつか使いたい。

94ページ:「多くの国々が歴史を通じて自由世界を護るためにそれぞれの役割を果たしてきました」。この言葉はハッとしました。自由を感じられるようになったのはたかだか5、60年のことなんだな、と。自由を護るための努力を果たしてしているのだろうか…。

95ページ:「擬していた」。意味がわからず。見立てる、仮に当てはめてみる。

99ページ:「ただし断わりの手紙のおしまいに手書きで一行つけくわえることを忘れないように」。このちょっとした心遣いは、実際にもらうと嬉しい。

100ページ~200ページ

103ページ:「アポロ11号のレプリカ」。イギリス出身のマーガレット・サッチャーが下院の自分の机の上にアメリカのアポロ11号の模型を置いていたそう。どこの国のものであれ、すぐれたものはよいものだということをすべての人々に知ってもらうため、との意図があったみたいです。

131ページ:レーガンがカーターに勝利した実際の選挙の様子が載っています。フィクションとノンフィクションの混ぜ方が本当にうまいです。

168ページ:「政治を心底嫌いになる瞬間と、愛する瞬間の対比」。たとえ好きなことでも嫌いになるときがある、というのは誰でも共感できると思います。

169ページ:「シーザーの引用」。ジュリアス・シーザーの引用はいろいろな本で登場します。今回もオシャレに登場しています。

171ページ:「世論調査の間違い」。世論調査では女性に投票しないと言っていた男性たちが実際にはフロレンティナに投票していたというもの。これはドナルド・トランプの世論調査と似ています。トランプ不支持を表明しつつ、隠れトランプ支持の人もたくさんいたので、大統領になりました。世論調査は間違うことがある、というのは目からウロコでした。

175ページ:「ミス・トレッドゴールドは献身と良識によって教育していた」。教育の理念として素晴らしいと共感しました。

177ページ:「ミス・トレッドゴールドはフロレンティナから贈られた株券にまったく手を付けていなかった」。ミス・トレッドゴールドは教育者として死ぬまでフロレンティナを見守り続けていた。人に教えるとはきっとそういうことなんだろう、と思いました。

184ページ:「信義の人」。ニューヨーク・タイムズ紙がフロレンティナをこう評価した。フロレンティナが尊敬される大きな理由としてあげている。やっぱり政治家は信義を尽くしてほしいと、本当に思う。

そして、夫であるリチャードが事故で亡くなってしまいます。フロレンティナがハーバードの卒業スピーチを行っているあいだの出来事です。そのとき、僕は予感がありました。ジェフリー・アーチャーは予感を漂わせるのが巧みでした。亡くなって以降リチャードの存在感があまりになくて悲しかったです。

200ページ~

207ページ:「濫費(らんぴ)」。ムダ遣い。

212ページ:「退役軍人の不正受給問題」。実際にあったようですが、本では軍人が被害者として描かれています。ですが実際は、軍人が関わっていたこともあるようです。

212ページ:「有卦(うけ)」。運が向いてきて、よい事が続くこと。

218ページ:「Happy Days Are Here Again」。大統領の登場で使用された曲。このあたりからは出版された年よりも未来の話になるため大統領の名前が明かされなくなります。

219ページ:「政治家を表すふたつの単語、politicianとstatesman」。Politicainは私利を目的とする「政治屋」を意味することが多い。これに対し、statesmanはリーダシップやすぐれた識見をもつ政治家を指す。

220ページ:「大統領万歳」。曲名。

238ページ:「あの女は金を持ちすぎている」。男性の女性候補に対する投票行動に関する分析。女性に絶対投票しないということでなく、お金を持っている女性に投票しない、と分析されている。

240ページ:世界中の大統領選のニュースに関する記述で東京が登場。やっぱり日本がでると嬉しいです。

241ページ:「例外なく女性のほうが冷淡だった。そのくせみんな候補者にちやほやされて有頂天にんっているようすが手に取るようにわかった。」。女性候補に対する有権者の行動。本当かな…、となりました。

244ページ:民主党のシンボルはロバ、共和党のシンボルはゾウ。初めて知りました。

247ページ:「エアフォース・ツー」。大統領専用機の「エアフォース・ワン」のように、副大統領には「エアフォース・ツー」が割り当てられている。

248ページ:「披瀝(ひれき)」。心の中の考えをつつみかくさず、打ち明けること。

255ページ:「人々の大部分は爪がなくなっていた」。拳をかたく握っていることのたとえ。しばらくこの意味がわかりませんでした。

268ページ:選挙人制度についてわかる記述あり。やっぱり選挙人制度は不思議です。

272ページ:民主党支持のハリウッドスターとして、ダスティン・ホフマン、アル・パチーノ、ジェーン・フォンダのビッグネームがそのまま掲載されています。

275ページ:「無聊(ぶりょう)」。たいくつのこと。

275ページ:「びっこのアヒル議会」。レームダックのこと。選挙で落選し、まだ在任期間が残っている現職議員のこと。

276ページ:「鸚鵡(おうむ)」。漢字にするとスゴいな…。

279ページ:「バケツいっぱいの唾にも価しない」。ジョン・N(ナンス)・ガードナー(副大統領:1933年–1941年、当時の大統領はフランクリン・ルーズベルト)の副大統領職に対する言葉。仕事らしい仕事がほとんどなかったことがあらわれている言葉。

314ページ:「シオドア・ホワイト著『大統領の誕生1972年』」。セオドア・ホワイト(シオドア・ホワイト)は政治ジャーナリスト、歴史家、小説家。第二次世界大戦中の中国における戦時レポートおよび1960年、1964年、1968年、1972年、1980年のアメリカ合衆国大統領選挙のレポートで有名。これを読めば大統領戦が詳細にわかる。

大統領になれるのか?(ネタバレ)

フロレンティナは最終局面で見事に出し抜かれ副大統領となりました。そのときの大統領との約束は1期で辞任し、2期目はフロレンティナを推すというものでした。ですが、この約束もなかったことにされてしまいます。

ですが、大統領が急死し、フロレンティナが大統領となることが決まります。このシーンで幕が閉じます。

結局、選挙で女性が大統領になりませんでした。ジェフリー・アーチャーも選挙で女性は勝てない、と思っていたのかもしれません。フロレンティナが大統領になった年から30年ほど経ちましたが、現実に女性大統領はまだ実現していません。

今は思ったよりも時代が進んでいないんだな、と感じてしまいました。

以上気になった部分の紹介でした。

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今回は「ロスノフスキ家の娘:下巻」のご紹介でした。 ぜひぜひチェックしてみてください。
ありがとうございました。