jazz

「セレナーデ」にはなんでコミカルなイメージがある?
ジョージ・バランシンが初めて振り付けたバレエ?
どんな内容?

3/24のEテレ「クラシック音楽館」でちょうど大好きなチャイコフスキー作曲の「セレナーデ」が流れていたので、聴き入ってしまいました。

この「セレナーデ」に振り付けられたバレエ作品があります。

たぶんこの曲は、誰しも聞いたことがあると思うので、バレエ初心者の方にもオススメです。どちらかというと、コミカルな印象が強いかもしれません。

kazu

それはなぜ?

記事を書いているのは…

元劇団四季、テーマパークダンサー。舞台、特にバレエを観に行くのが大好きで、年間100公演観に行った記録あり。ぜひ男性にもバレエを観に行ってもらいたいと思っています。

U-NEXT 31日間無料トライアル
Amazon Prime 30日間無料トライアル

kazu

今回は初心者でも楽しめる「セレナーデ」の作品解説です。

※5分ほどで読み終わる記事です。この記事はバレエ鑑賞初心者の方のために書いています。初めて「セレナーデ」を観ても楽しめるよう映像で予習できるようになっています。

コミカルな曲じゃないの?

いきなりですが、この曲にコミカルな印象を与えた原因となるCMがあります。

それが、超有名なこのCM。


【オー人事】 スタッフサービス 歴代CM総集編 PART1 【全10種】

僕もたぶん皆さんと同じでバレエ作品よりもCMを先に知っていたので、チャイコフスキー作曲の「セレナーデ」はコミカルなイメージが先行しています。

「オー人事」のCMで流れているのは、第1楽章冒頭の、たった4小節ほど。

たった数秒なのに、強烈にフレーズが頭に残ります!

バレエはパロディされやすい

同じような現象がいろんなバレエ作品にみられます。

白鳥の湖

昔はコントでよく白鳥の頭がついたチュチュが使われていました。笑

志村のけんちゃんがよく着ていましたね!

f:id:pegastudio:20190324220601j:plain

めがね

にこやか!

ボレロ

モーリス・ベジャール振付の「ボレロ」もワハハ本舗がコントで使っていたこともありました。笑

大好きでした。

昔の放送作家の方は、きっと芸術に詳しかったんじゃないかと思います。でも、ふざけていたとしても、ちゃんと作品に対しての敬意も感じるし、どんな形であれ、クラシック音楽やバレエが広まるのはいいことだと思います。

ジョージ・バランシン振付「セレナーデ」

ここで本題に戻って、バランシン振付「セレナーデ」の作品解説です。偉大な振付師であるジョージ・バランシン最初の振付作品です。

この作品は世界中のバレエダンサーが踊りたがる作品です。多くのバレエ団がレパートリーに入れていて日本だと新国立劇場バレエ団、東京バレエ団が上演権を持っています。

1935年3月1日初演

振付:ジョージ・バランシン
美術:ガストン・ロンシャン
衣装:ジャン・リュルサ

上演時間:33分

アメリカン・バレエ(ニューヨーク・シティ・バレエ団の前身)
劇場:ニューヨーク・アデルフィ劇場

「セレナーデ」はジョージ・バランシンがはじめてアメリカで発表したバレエ作品です。バランシンは帝政ロシアから亡命、ヨーロッパに渡ります。その後、ヒトラーが支配するヨーロッパからアメリカに移り住みます。

この頃のアメリカでは、バレエはあまり知られていませんでした。そのため、バランシンはまずバレエを踊るダンサーを集めることから始めなければいけませんでした。

ダンサーを集めるときも「写真だけで選んだ」と言われています。

このセレナーデは何度も何度も改訂が行われ、振付だけでなく、舞台装置、衣装も何度も変更されています。

現在の「セレナーデ」の解説動画

バランシンの作品をオリジナルのまま守るニューヨーク・シティ・バレエ団、プリンシパルのアシュレイ・ボーダーのインタビューです。

アシュレイ・ボーダーはニューヨーク・シティ・バレエ団の中でも随一のテクニックを持っているダンサーです。

アシュレイ・ボーダーが言うように、バランシンはそれまでのバレエの概念を変えました。具体的なストーリーをなくし、踊りで音楽を表現する方法を追求していきます。

kazu

ただ、バランシンの作品は決まった解釈はできないものの、ストーリーは確かに存在していると思います。

あらすじ

17人の女性ダンサーが天窓の日差しを眩しそうに手で遮るような動きからはじまります。そして、いっせいにつま先を正面から横にバッと開きます。

出演人数

26人

名前のある役
・ロシアン・ガール
・ワルツ・ガール
・ダーク・エンジェル

初演は1935年ですが、その前年の1934年にバレエ学校(スクール・オブ・アメリカン・バレエ)の生徒たちにより踊られました。

4つのパートに分かれていて、3つ目のパートの終わりに長い髪の毛をほどいた女性ダンサーが登場します。髪の毛をきっちりまとめるバレエで、当時はかなり新しい挑戦だったんじゃないかと思います。アメリカだからこそできた挑戦だったのかもしれません。

「セレナーデ」は希望の話です。

もしいま「自分は何も持っていない、教養がない、外見に自信がない、と感じていても、いつでも変えることができる」というメッセージが込められている。

kazu

この解釈が僕は好きです。

このバレエは「ネオクラシック(新しいクラシック)」というジャンルで呼ばれています。

ニューヨークにいた時に裏話をたくさん聞けた

僕はニューヨークにダンス留学をしていました。

バレエのレッスンは必須だったので、常に受けていました。そして、バレエを観に行くのが大好きだったので、学生券を駆使して、ニューヨーク・シティ・バレエ団の作品を毎日のように観ていました。

そして、僕が習っていたバレエの先生は、ニューヨーク・シティ・バレエ団にゆかりのある方がたくさんいました。作品を観たあとは、先生とよく意見の交換をしていました。

「セレナーデ」の裏話

「セレナーデ」は、女性ダンサーが舞台に出たり入ったり、入れ替わりが多い作品です。

jazz

なんでこんな状況が起こったの?

作品を発表するためには、お金を援助してくれるパトロンのような存在が必要です。

この状況は今の日本とも似ているのですが、ダンサーの両親がパトロン(お金を援助する人)というパターンが多かったようです。

お嬢様(ダンサー)はいろんな習い事をしています。そのひとつがバレエ。娘さんを出演させる代わりに、お金を援助してもらっていたということですね。

kazu

これは悪いことではないです。

実際、俳優も、どれだけ公演のチケットが売れるかで、いい役がもらえるか決まったりします。

kazu

これが現実…。

いわゆるお嬢様の習い事なので、リハーサルに来たり来なかったり…。そうなってしまうと、きっちり振り付けることができません。1回目のリハーサルには17人が参加。2回目になると9人、3回目は6人という状況だったようです。

そのため、「セレナーデ」はお嬢様たちに合わせて、出たり入ったりが忙しい作品となっています。

かなりストイックなイメージのあるバランシンが「こんな状況を許していたのか」と思うととても意外でした。

初演時

現在上演されている「セレナーデ」は高度なテクニックがたくさん入っていますが、初演のときはバランシンの振付を踊りこなせるダンサーがいなかったため、ソロの役、男性とのペアの踊り(パ・ド・ドゥ)もありませんでした。

その後、ソロの振付が追加されました。このソロがのちに5人に分けられ、最終的に今のかたちである「ワルツ・ガール」「ロシアン・ガール」「ダーク・エンジェル」の3人となりました。

バランシンの作品ではセットがとてもシンプルなのですが、「セレナーデ」でもセットが組まれたことがありました。また、衣装もいろいろ変更が加えられ、ある時は帽子をかぶっていたこともありました。

曲順が変わっている

今回NHKでは「弦楽セレナー:ハ長調」と紹介されていました。小さな違いですが、僕は「セレナー」と言っています。

どちらでも問題ありません。

「セレナーデ」は、チャイコフスキーが1880年に作曲しました。

4楽章の構成

第1楽章:ソナチネ(9:31)
第2楽章:ワルツ(3:54)
第3楽章:ロシアン・ガール(7:51)
第4楽章:エレジー(9:11)

第1楽章冒頭の重い始まりは「チャイコフスキーの内的衝動を強く表現している」とされます。音楽が進んでいくと、穏やかな曲が続くのでびっくりするかもしれません。

バランシンは、第3楽章と第4楽章を入れ替えて使用しています。そのため本来は「第3楽章:ロシアン・ガール」が4曲目になります。この第3楽章に第1楽章冒頭の印象的なフレーズが入っていて一度おさまります。その後「第4楽章:エレジー」で余韻のある終わりになっています。

映像

めがね

全編の動画を紹介します。

バランシン最後のミューズであるダーシー・キスラー主演です。16歳でニューヨーク・シティ・バレエ団に入団し、18歳でプリンシパルになった実力の持ち主です。

英語のサイトですがセレナーデについて書かれている記事があります。よろしければどうぞ。

新国立劇場バレエ団版はこちらからみられます。

kazu

今回は「セレナーデ」のご紹介でした。 ぜひぜひチェックしてみてください。
ありがとうございました。