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「ケインとアベル」のあらすじは?
評価は高い?
印象に残った部分は?

2020年8月、東京では自粛期間が長引いています。外に出られずネットで動画ばっかり見ている人も多いんじゃないでしょうか。僕もまったく同じです。

ですが、最近は小説を読みたいと思うようになり、ずっしりと重い、読みごたえのある本を探していました。

そんな時出会ったのが、ジェフリー・アーチャー著の「カインとアベル」です。第1次世界大戦、世界恐慌、第2次世界大戦が起こった時代が舞台になっています(戦争にフォーカスが当たっている訳ではありません)。歴史が好きな方にもすごくオススメです。

記事を書いているのは…

元劇団四季、テーマパークダンサー。年間100公演ほど舞台を観に行ったことのある劇場フリーク。小説は映画化されているものを読むことが多く、映画との違いを楽しんでいます。

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kazu

この記事は「ケインとアベル」上巻のあらすじと感想、批評サイトの評価を紹介します。

※5分ほどで読み終わる記事です。この記事を読むと、きっと「ケインとアベル」が読みたくなると思います。ほぼネタバレはしていません。(基本的にポジティブなことしか書きません。)

大人にならざるを得ない少年2人

たまたま同じ日に生まれたケインとアベルが主人公の作品です。上巻では、1906年4月16日に生まれた2人が、青年期に出会うまで(電話で話すのみ)が描かれます。

前巻だけでも600ページほどあり、物語は壮大に展開されていきます。

kazu

とにかくぶったまげました!

僕は2003年に出版されたジェフリー・アーチャー著の「運命の息子」という本を持っています。本棚にある本をもう一回読むか~、と思っていたらこの本を見つけました。「運命の息子」も上下巻に分かれていて壮大なストーリーで、とてつもなく感動したのを覚えていました。

もしからしたら「ケインとアベル」も壮大かもしれない、と思いストーリーをまったく見ないで読み始めました。そうしたら、「運命の息子」と同じように2人の男性の人生が交互に語られていくスタイルでとても懐かしい気持ちになりました。

舞台が第1次世界大戦から第2次世界大戦になっているので、この本がいつ出版されたかわからず読んでいましたが、発行年を見てびっくりしました。

kazu

「運命の息子」よりも後に発行されたと思っていましたが、1981年に発行された本でした。

今読んでもまったく色褪せていないストーリーです。不条理の中にもかすかな希望があり、大人にならざるを得ない少年2人の壮大な人生に、人生について考えさせられてしまいました。

「ケインとアベル」あらすじ

東ポーランド、男爵の私生児として生まれたヴワデグ・コスキエヴィッチ。ヴワデグの人生はポーランドから始まり、第1次世界対戦ですべてを失ってしまうヴワデグ。完全に人生が終わったかに見えて、どうにか再起します。途中脱走劇があったりとハラハラわくわくする展開です。

一方、ボストンの名家で生まれたウィリアム・ケイン。ウィリアムはヴワデグと同じ時代に生まれたと思えないくらい恵まれた生活を送り、名門学校からハーヴァード大学へ行き銀行家となります。ただ、ケインのストーリーもとても波乱に満ちています。

同じ時系列で、ケインとブワデグのストーリーが交互に展開されていきます。

最初はヴワデグのストーリーに惹きつけられましたが、読み進めるとウィリアムのストーリーにもどんどん引き込まれていきます。どちらも甲乙つけがたいです。

ヴワデグのストーリーはあまりに悲惨で読み進めるのがツラくなる部分も出てきます。小説ではグロテスクなシーンも頭の中でマイルドになるので、どうにか読むことができると思います。

ウィリアムは銀行家の息子として生まれ、父親を超えることを目指しています。そのため、少年期からお金をどう儲けるかとか、株をどう運用するかといった話が登場します。中学校から一切お小遣いをもらわずに生活していくというストーリーにワクワクしました。

ふたりは環境がまったく違うものの、どちらもツラい環境にいます。だからこそ、生きることに執着しないと死が待っています。ウィリアム、ヴワデグは悲しい別れを経験し、一気に大人として歩き出します。

ただ生きるのではなく、どう生きていくかをドッシリと考えているふたりの人生観。

後半になるとふたりのプライドがぶつかりあっていきます。ふたりにとってプライドはとても大事な価値観で、譲ることができません。それを貫くことのスゴさと、悲しさ…。

上下巻合わせると1000ページほどにまでなるので達成感があります。

1900年代の中盤までのアメリカの歴史や、アメリカの価値観がわかる内容で、この本を読んで本当に良かった、と思う作品です。

ケイン編、アベル編の記事もだしていてこちらは上巻のネタバレをしています。

元ネタの「カインとアベル」

旧約聖書「創世記」に登場する兄弟の物語に「カインとアベル」がありますが、この作品はまったく関係がありません。どうやら、ジェフリー・アーチャーは小説のタイトルとしてインパクトを持たせるためにこのタイトルを選んだようです。

「カインとアベル」の原題は「Cain and Abel」です。それに対し、ジェフリー・アーチャー著の「ケインとアベル」は「Kane and Abel」とケインのスペルが違います。日本語だと「ケインとアベル」という日本語訳になっていますが、英語では発音がまったく同じです。

このアベルは誰なんだという話なんですが、ヴワデグがニューヨークからアメリカに入国する際、ヴワデグという名前を捨て「アベル・ロスノフスキ」という名前を申請します。この時「ケインとアベル」が完成します。

評価は高い?低い?

直木賞をとった山本一力さんがインタビューでこんな言葉を残しています。「無人島に一冊だけ持っていくとしたら、迷わず『ケインとアベル』を選びます。まだ読んでない人は幸せだと思うね、これから読む楽しみがあるから(笑)。」

ジェフリー・アーチャー著「カインとアベル」の評価

ジェフリー・アーチャー著「カインとアベル」下巻の評価

ハイブリット型総合書店「honto」より

評価は高いと思います。男性が主体な話で、時代背景から女性があまり活躍しないので、男性ウケの方がいいかもしれません。世界恐慌や、株式市場などが登場しますが、そこまで難しい内容ではないと思います。長い作品ですが、一気に読み進めることができる作品です。

ジェフリー・アーチャー

作者のジェフリー・アーチャーはウィリアムやヴワデグと同じようにスーパー波乱万丈な人生を送っています。

1940年:4月15日生まれ
1967年:大ロンドン議会議員
1969年:庶民院(下院)議員に最年少議員として当選(保守党)
1973年:北海油田の幽霊会社に投資し財産を全て失う
1974年:落選

作家デビュー
1976年:自分が騙され財産をすべて失った話をもとに作られた小説「百万ドルをとり返せ!」が大ヒットし、借金を完済

1985年:政界復帰し、党副幹事長となる
1986年:サーの称号をもらい、貴族院議員に

2001年:裁判で嘘のアリバイ証言を告白し、偽証罪により実刑が確定
2003年:保護観察となり出所

80歳を超えても執筆活動を続けています。

長文のときのカギカッコの正式な使い方?

この小説は僕が読むと「誤字なんじゃないかなー」と思うような文章が少しありました。ただ、僕が読んでいるバージョンは第52刷なので、さすがに誤字ではないだろうなと思い、気になって調べてみるといろいろなことがわかりました。

中でも「へー」と思ったのがカギカッコの使い方です。

セリフにはカギカッコが使われていますが、読んでいるとカギカッコを閉じずにカギカッコがでてくる文章がありました。

カギカッコが閉じない?

こんな長文の会話がありました(途中、割愛しています)

「いやいや、なにもあなたを過小評価しているわけではありま・・・(このまま文章が続き【 」】が登場しません)

「(【 」】がないのにあらたに【「 】が登場します)わたしはあなたが正解においてより直接的な役割を演じなければならない、・・・。」

このようにカッコを閉じることなく、次の改行で新たなカッコが登場することがよくありました。

どうしてだろう・・・、と思っていたらカギカッコにはルールがあるようです。

カギカッコの開業のルール

会話が長くなり改行せざるを得ない場合、改行後の冒頭に【「 】をつけ、会話文内で改行していることを明示すること。

ひとつ勉強になりました。

実はこの作品、1985年にドラマ化されています。全2話、各2時間という長さです。

kazu

今回は「カインとアベル」前巻のご紹介でした。 ぜひぜひチェックしてみてください。
ありがとうございました。